echalote?(エシャレット)

henri772004-10-31


この花をご覧になったことがあるだろうか?居酒屋メニューによくある味噌を付けて食べるあの「エシャレット」の花である。有り体に言うと「らっきょうの花」でもある。というのは、市場でエシャレットと呼ばれているものは、らっきょうを軟白栽培(関東の白いネギにも使われる技法で、土を根元に寄せて日光に当たらない様にして白く柔らかくする栽培技法)したものに他ならないからだ。発祥の地は浜松で、気候や土がらっきょうの栽培に適していて、昔かららっきょうの産地だったところである。その早穫りを生で薦められた市場の関係者がこれは売れると考え、今でいうブランディングに成功したのが始まりらしい。元々加工用のらっきょうに付加価値が付いた訳だ。

早めに収穫し軟白に仕上げられているお陰で、らっきょうほど辛くなく、さわやかな後味で生食出来る。子供が好んで食べる味ではないが、元々ネギの系統の薬味の好きな日本人の大人には、酒のつまみや脂っこいものの口直しに受入れ易かったのだろう。らっきょうの場合根球部のみの収穫が目的なので、それ程は気を使わない。手のかかっているエシャレットはずっと上まで土を被せるので茎まで食べられる。他にも昆布と鷹の爪を加えて軽く塩して一夜漬けにしたり、衣を付けてフリッター風にするなど素材を活かす料理法なら、野趣が味わえて美味しい。最近流行の沖縄の「島らっきょう」も「島」がついているが品種的には同じらっきょうで、早穫りして塩漬けしたものである。僕はらっきょうが好きで、漬かり始めの塩らっきょうをつまんでしまう程だが、人によっては胃に来るらしい。このエシャレットなら大丈夫かもしれない。

実は、タイトルにあるフランス語を書くと事態はややこしくなってくる。ヨーロッパ人がソースを作る時に必ず使う「エシャロット」と同じだからだ。エシャロットはタマネギとニンニクの間の様な味のするユリ科の根球だが、今でも市場ではタマネギとニンニク以外のユリ科の根球を「エシャレット類」というくくりで扱っているので混同している人も多い。エシャレットでソースを作ってこんなものだと思われたらフランス人が気の毒ではある。まだエシャロットが一般的で無かった頃にらっきょうの訳語をフランス語の辞書で見つけ、しゃれて採用したということだったらしい。だからといって、生食らっきょうとか軟白らっきょうといった商品名では、こんなには売れなかったに違いない。