南瓜(カボチャ)

henri772004-10-14


この季節になると、野菜市場で南瓜を大量に買い込んでおくのが常だ。仕事の〆切が続くと何日も市場に行けず、野菜の蓄えが不足してくる。そんなとき、南瓜や冬瓜などの瓜類は重宝する。傷さえつけなければ、翌春まで常温保存できるからだ。野菜不足になって、慌てて深夜スーパーでへなへなで生気を失った野菜を手に入れたり、ビタミン剤や野菜ジュースに頼るのは嫌なので、こういった常温保存の野菜や乾物などを組み合わせて食事をすることにしている。昔の人は、夏の終わりに収穫した瓜をこうやって保管し、冬の間少しづつ食べつないだのだな、なんてことを思いながら、いろいろと食べ方を工夫するのは楽しい。

昨日から外国人のお客さんが来ていたので、朝食に南瓜の煮たのを出そうと思って面取りまでしたところで、接待の日本食で飽き飽きしているので洋風のテイストのものが食べたいというリクエストが入った。南瓜スープでもと思ったが、折角面取りまでしたものを潰して猿真似の料理を出すのも悔しい。そこで、日本料理の調理法で彼らの口に合う方法を試してみた。結果は大成功。大喜びで食べていただいた。

水で割った白ワインに南瓜を入れ、自然塩少々とバターをほんのひとかけら放り込み、落としぶたをして煮ただけだ。何の事はない。酒の代わりワイン、醤油の代わりにバターを使った点が違うだけで、調理法はまったく煮物と一緒である。最近は創作料理というジャンルが流行だが、どうもあれは僕にはしっくりこない。日本料理の調理法をベースにして洋風の素材やテイストを取り入れていくか、洋風の調理法をベースに日本の四季折々の素材を工夫して使うか、いづれにせよポリシーをちゃんともった調理人が作るものは美味しいし、バランスが取れている。ところが創作料理の店で出されるものには大抵そういった思想が見えず、味の取り合わせに失敗すると、マヨネーズを飾りにかけたり濃い味をつけて誤摩化してしまっている料理ばかりが目につく。