湯麺(タンメン)

冬は、白菜やキャベツが安いし美味しい。でも、少人数の家族では食べきれない。それでも、市場で買った丸ごとの奴は味が深いし断然安い。そんな時に僕が作るスピード料理の1つがこの湯麺だ。冬場に豊富な葉野菜をたっぷり楽しむことが出来る。僕は家庭で作るラーメンには湯麺が最も適していると思っている。というのは、ラーメンブームが行き過ぎて、やたらに味の凝ったラーメンが叛乱しているご時世、男の趣味に邁進するなら兎も角、家でわざわざ自作する必然性はないからだ。それに、味が濃いのが流行なのか、毎日食べたくなる様なのにはなかなかお目にかかれない。たまに酔っぱらった後には美味しいと思うが、野菜が僅かで塩辛いスープ。体にも悪そうだ。野菜を沢山入れた毎日食べられる湯麺は、自作するのにはピッタリなのだ。

いつでも気軽に作れること、野菜の滋味を十分に引き出して楽しむこと。この2つを考えると、スープに凝る必要はない。野菜の種類を組み合わせたっぷり使えば、豊かな味が引き出せて、豚骨だ鶏ガラだので味を整えなくても旨味は十分引き出せる。化学調味料アミノ酸)入りのスープの素やコンソメ等、もちろん全く不要だ。

で、レシピの紹介。スピード料理なので、メンを茹でる以外は一つの鍋で作ってしまおう。中華鍋か手鍋を用意する。ごく少量の油を敷き、豚肉の細切れを少量炒める(味のアクセントの役目だけなので、ほんの少しで良い。塩豚を使うとなお美味。ベーコンでも)。多少焦げ目がついた所で、水を注ぎ入れ、昆布を1枚と煮干しを数本、戻し椎茸を汁ごと(入れすぎると嫌みな味になるので少量)放り込んで、火加減を中火にしておく。水が沸いてきたら昆布を取り出し(好みで刻んで戻して使っても良い)、10分程煮干しを煮だしたら、煮干しも取り出し、もやしと白菜かキャベツ、そしてネギかタマネギを刻んだのをたっぷりと入れて、強火で煮立てる。野菜の量が減ってきたら、ニラか適当な青菜の刻んだのを放り込んで、自然塩(これだけは譲れないので良い奴を使おう)、胡椒、ごく少量の醤油(薄口が有ればなお良い)で調味する。時間を見計らって茹でておいたメンを丼に入れ、スープだけ先に注いでメンと馴染ませてから野菜をたっぷり上に載せれば、出来上がりだ。メンは乾麺やインスタント(添付のアミノ酸入りスープは勿論捨てよう)でもそれはそれで。胃が弱っていても食べられる優しい味の一品。

薄味で寂しいと思う人は、水を入れると同時に、帆立貝や浅蜊、冷凍のシーフード、殻付きの海老などを放り込んでおけば(途中で取り出してから殻を外して最後に盛り合わせると豪華に見える)、チャンポン風の味にすることが出来る。逆にもっとさっぱりさせたい人は煮干しの頭と内蔵を外して使う。ベジタリアン風には、豚と煮干しを省略し、水の代わりに、椎茸の戻し汁や大豆出汁、野菜くずの煮汁を加えれば良い(野菜くずににセロリの葉やパセリの茎等香味野菜を混ぜておくと良い出汁が出る)。兎に角野菜はたっぷり使うことだ。