茴香(フェンネル/fennel)

henri772005-01-08


またまた洋野菜だが、関心するほど立派なのが野菜市場に出ていたので、紹介。茴香(ういきょう)という漢方薬で聞く名前の方がピンとくるフェンネルだ。僕の庭にも植わっているので、ここまで育てるのはかなり時間がかかり大変なのが良く分かる。本当に農家の方頑張っていらっしゃる。フェンネルには、写真の様に根茎部が肥大するフローレンス種、そして肥大しないスイート種、そして名前は忘れてしまったが緑が鮮やかで良く花材に使われている種類がある。どれも、セリ科独特の素敵な芳香を持っているので、種、根茎部、種と丸ごと食用に利用できる。原産は恐らく西アジア辺り、早くからヨーロッパにも伝わっていて、種はカレーの香辛料や生薬素材としても有名だ。この香りは勇気の出る香らしく、アングロサクソンの力や勇気の象徴で、魔除けにも使われたらしい。

さて、大変立派な葉っぱだけど、サラダや料理に散らす位で意外に使いきれないようで、市場でも根茎部だけ買って行く人が多い。良くあるレシピに魚の腹にこれを詰めてオーブンで焼く料理があるが、もっと日本人にピッタリくる魚料理があるので紹介しておこう。お隣琉球の料理で「イーチョーバ(茴香葉)風味のマース煮」。大きめの鍋に水と泡盛(ないし清酒)と塩を入れ、フェンネルの葉を敷いて内蔵を取り除いて包丁の切れ目を入れた魚を並べる。魚の上にもフェンネルの葉を被せ、落としぶたをして、煮魚の要領で煮る。魚に火が通ったら葉と魚を格好よく盛りつける。フェンネルの香りと魚の本当の味が楽しめる秀逸な一品だ。マースとは塩のことで、塩だけの煮魚という訳だ。塩は勿論沖縄の滋味溢れる海塩を使おう。ハタでやるととびきりだが、どんな魚でも美味い。沖縄の料理を繊細でないと馬鹿にする人がいるが、マース煮という料理を見る限り、本土の砂糖と醤油で魚の個性を殺してしまう煮魚よりよっぽど上等な調理法だと思う。沖縄でも最近の若い人は作らなくなっている様で、残念だ。

根茎部の方の一押しは、「バター風味の蒸し焼き」。根茎部の根元から包丁を入れて、8〜12等分程に割り、固い芯の部分を取り除いておく。密閉の出来る鍋にバターを溶かし入れ(少量でも香りは出るのでダイエットしている人はオリーブ油と混ぜて)、根茎部を入れて軽くソテーする。そこに白ワインか清酒を注いでバターで足りない塩分を補い、蓋をピタッととじて蒸し煮にする。多少歯ごたえが残る程度に火が通ったら、葉っぱの先の方の部分とレモン汁を入れてひと呼吸蒸して、全体をざっとかき回したら終わり。バター、レモンとの相性が抜群だ。