赤甜菜(ビーツ)

henri772004-10-23


台風の影響だろうか、野菜市場でも葉野菜が不足気味だ。高い野菜を無理して買うのも嫌なので、しばらくは根菜類を中心に献立を組み立てるつもりだ。今日はビーツが沢山出回っていたので、主役はこれに決まりだ。保存が利くので、いつも量を纏めて買ってくる。色んな使い道があるのだけど、主役というなら、やはりボルシチが一番楽しめる。下ごしらえが面倒くさいこともあるのか、農家の方は一生懸命作っているのだけども、買う人が少ないらしく、店じまい前にはかなりの安値で譲っていただける。近所の高級スーパーとは5倍以上の値段の開きがあり、もちろんこちらの方が鮮度が上だ。根っこの部分を切り取り、オーブンでじっくり焼いて、冷蔵ないし冷凍で保存しておく。勿論葉っぱも捨てないで茹でてから冷凍しておく。こうすればいつでも直ぐに使える訳だ。

僕にとってはこのビーツの独特の甘さはたまらない。ただ人によって好き嫌いが別れる様だ。以前アカザ科の野菜で実はほうれん草の仲間だと聞かされて、その根拠が推察できた。そう、ほうれん草の根元の赤いところ、あれと同系統の甘さなのである。白状すると子供の時は、あの根っこを食べるのが嫌だった。今は大好きで、あそこから食べ始める位だが。子供の時は単純な甘みが嬉しいが、大人になると、こういうひねりある味の方が良くなるということなのだろう。

ヨーロパ滞在中にウクライナ人の知人から教わったレシピを紹介しておこう。彼によると、各家庭で全然違う作り方をするので、ビーツが主役である以外これといった決まりはないという。気取ったレストランで出るのとは別物の家庭風の奴である。まず、焼いた(茹でても良いが)ビーツを半量摺りおろし、残りのビーツとジャガイモとタマネギ、そして牛のすね肉を小さなサイコロ状にカットする。タマネギと肉を軽く炒め、水と少々のワイン酢を注いでカットしたビーツを入れ、1時間程煮込む。最後に摺りおろしビーツとジャガイモを入れ、もう30分煮込んで、塩こしょうして出来上がりだ。酢を入れるのは、鮮やかな赤色を出し、肉を柔らかくするためだ。サワークリームをひとかけら添えると相性が抜群。ビーツの鮮やかな赤と素敵な甘みを楽しんで欲しい。