オレンジズッキーニ

henri772004-10-25


台風の被害は結構大きかった。昨日覗いた野菜市場で農家の方が「売るものがない」と嘆いていた。そんな状態なので、その日の品揃えは、夏の最後に収穫しておいたものを急遽引っぱり出してきたといった様子であった。南瓜、冬瓜と続いたので、今日の献立は別のものにしたいと思って物色していたら、「オレンジズッキーニ」が見に入ってきた。ズッキーニは元々放っておくと、大きく成長してしまう野菜なのだが、このオレンジの奴は何時見ても別格に大きい。流石に、丸ごと売りが信条の野菜市場でも、これは切り分けて並べてある。身が締まって美味しそうだ。切り分けた大きな塊を2つ程買うことにした。

ズッキーニの原産はアメリカ大陸で、旧大陸に入ったのは16世紀以降だ。ヨーロッパでは基本の食材としてかなり普及している。また、お隣の韓国でもよく使われる。ただ、意外に日本に入ってきたのは遅くて、戦後なのだそうだ。そう言えば、ズッキーニを使った和食のレシピは少ない。南瓜の仲間といっても、日本人がよく食べる甘くてねっとりした系統のカボチャではなく、ペポカボチャという粘性の少ない系統のほうに属している。ペポカボチャの系統はどうも日本人の口にはすぐに合わなかった様で、全体的に和食の献立がなく、もっぱら日本では観賞用に使われて来た様だ。

このオレンジズッキーニを買ったら、いつの間にか、袋の中にハヤトウリを数個おまけで放り込んでくれた。閉場間際はこれがあるから嬉しい。季節柄サラダや浅漬けでもないので、ハヤトウリと合わせ、ふろふき風に仕立ててみることにした。まずは、ズッキーニとハヤトウリを多少時間をずらして湯がいておく。昆布出汁を用意し、鶏ひき肉をネギと一緒にポロポロに煮て塩と薄口で味を付ける。そこに湯がいたズッキーニとハヤトウリを戻し、火を止めてしばらく置き味を含ませる。ちょっと淡白すぎるかなと思われたので、中身を取り出して盛りつけてから、とろみを付けたところに豆乳を加えたので、ふろふきというよりは和風クリーム仕立てになった。2種の食感が素敵で楽しめる。