芋茎(ズイキ)

henri772004-10-26


8月に野菜市場を閉場間際ぎりぎりに訪れた折、大量の芋茎をいただいたことがあった。他に買い物をして帰ろうかと思った時に、「お兄ちゃん、これ持って行きなよ。タダでいいからさ。誰も買ってくれなかったんだよ」声をかけられた。いつもいつも芋茎を買って行くので、僕に渡せば使ってくれると思ったらしい。僕はこの芋茎の胡麻酢和えが大好きで、この時期には確かに良く買っている。もちろん大喜びで持ち帰ったが、さてこんなに沢山どうしたものか。久しぶりに芋がらを作ってみる事にした。

奇麗に洗ってから、1〜2日ざるの上で干し、少ししんなりしたところで皮を剥く。更に1〜2日放っておくと、だらっと曲がる様になるので、それを綱を張った軒下にぶら下げてしなしなになるまで乾燥させる。どうやらうまくいった様だ。市販のものに劣らない仕上がりとなった。そのままポリ袋に入れて保管しておいたのだが、今日は外に出ていなくて野菜が足りなかったので、取り出して使ってみることにした。うまい具合に変色しないで良い状態で保存されている。これなら春先まで持ちそうだ。煮て戻し、しばらく灰汁抜きしてから、親芋の方と合わせて、コクを出すために牛蒡と油揚げを加え、白味噌仕立ての芋+芋がら汁にしていただいた。

以前、自分で作った里芋の茎を使ってこの芋がらを作ったのだが、もっとエグミが強く、灰汁抜きに余分な時間がかかった。どうやら、これは茎を食べるためのエグミがもともと少ない品種らしい。茎が赤い種類だ。関西にはこれ以外、蓮芋と呼ばれる茎を食べる緑の品種も存在する。里芋は、米よりも前からアジア人の主食だったらしく(サツマイモやジャガイモはアメリカ大陸から入ってきたので、当然その前は里芋系統しかなかった訳だが)、芋の副産物として芋がらは冬の食料として重宝していたに違いない。そう言えば、どこか地方のフランス料理屋さんで、芋茎をワインベースで上手に含め煮して鶏肉の付け合わせに使っているところがあった。何やらもっと応用出来そうである。この冬はもっといろいろな料理に使ってみようと思う。