春菊(シュンギク)

henri772004-10-27


急に寒くなってきた。今迄何となく冬物を出しそびれていたが、今日は慌ててセータを引っ張りだした。やっと鍋のおいしい季節になった。鍋というと、春菊がすぐに思い当たる。鍋のことを考えながら野菜市場にいって殆ど何も考えずに最初に春菊を手に取ってしまった。台風の影響で例年よりは少ないが、葉野菜の値段も落ち着いてきたので、そろそろ終わりかなと思える茄子と春菊など秋の葉野菜を何点か買い込んだ。まだ柔らかそうでサラダでもいける。葉先の方を明日のサラダ用に切り取り、残りは牡蠣鍋と決めた。

春菊は他の葉野菜と比べると、菊特有の独特の香りと癖ががあるが、組み合わせが良いと本当に嵌る。例えば、今日の献立の牡蠣である。牡蠣鍋をするとどうしても春菊が欲しくなる。他の菜っ葉では物足りない。そういえば、春菊と牡蠣のパスタというのがある。大分前にどこかで覚えて以来大好きで時々作っている。クリーム仕立てにもする様だけど、そのまま塩味ベースでも相性は抜群だ。結構あちこちのレストランでも定番の様で、誰もが認める黄金の組み合わせということなのだろう。春菊としめじもその一例だ。胡麻との相性も良い。お馴染みの胡麻和え、そして韓国風にごま油であえて砂糖に少々の薄口を注しても美味しい。この場合調味より先にごま油で合えるのがべちゃべちゃにならないコツだ。

以前この春菊を春蒔きも出来るというので、春先に植えてみたことがある。結果は失敗。数週間でとうが立ち、花が咲いてしまった。そうなると固くて食べられない。秋に蒔いて、花が咲く春先迄の間切り取りながら収穫するものだと知った。ただ怪我の功名で素晴らしい花畑を体験できた。聞けば、地中海原産の観賞用植物で、15世紀以降に東アジアに伝わったらしい。観賞用の菊は逆に中国からヨーロッパに伝播しており、面白いクロス交流である。中国には昔から滋養強壮の為に菊を食べる習慣が有ったので、春菊が渡来した時にうまく嵌ったのだろう。それ以来、冬の間中収穫した株を幾つか春迄残し、花を鑑賞することにしている。