萵苣薹(ちしゃとう)

henri772005-01-04


ステムレタスという葉が巻かないタイプのレタスの仲間だ。焼き肉屋さんで出てくるサンチュなども同じグループに属している。結球タイプの今のレタスが明治以降に広がる前から日本でも知られていた野菜で、ちしゃの「ち」は「乳」で、切り口に溢れる乳白色の液がその由来らしい。そういえば同じキク科のアザミの切り口からも乳状の液が出てくる。この成分には催眠作用があるそうなので、不眠気味の方は試してみたら良いかもしれない。ステムレタスは茎の部分が徒長するのが特徴で、紀元前から中近東やエジプトでも栽培されていたらしい。どこだかで、エジプトの古い壁画に、葉っぱを掻き落として収穫しているのを見たことがある。洋の東西考えることは同じな様でlettuceのlet-もラテン語の乳を表す接頭語「lac-」から来ている。

薹と言うぐらいで、葉っぱもレタスと同じように利用できるが、茎の部分を主に料理に使う。今回手に入ったのは品種なのか薹の部分がずんぐりした奴。日本では京野菜の1つとして扱われていて、萵苣薹の西京漬けは、歯触りが秀逸だ。中国ではポピュラーな野菜で、炒め物やスープの具によく使われている。丸元淑夫の栄養の本の受け売りだが、レタスは最もアミノバランスに優れた野菜らしい。牡蠣油と炒合わせると完全食になるそうだ。なかなかピンとこないが、実はこの茎を割って干したものが、最近人気の「山くらげ」だ。

今日紹介するのは、葉っぱも茎も使った中華料理で「萵苣薹ラーメン」。思いつきのレシピなので、本場にもあるのかどうかは保証はしないが。まず、葉は掻き落として洗っておき、茎は皮を剥いて短冊切りにしておく。小鍋に手羽先肉を入れ、鰹か煮干しの出汁と老酒を少々注いで15分程煮込む。肉だけ取り出して骨を取って身をほぐしておく。スープの方は塩、醤油と味醂で味付けをする。あれば牡蠣油(化学調味料無添加が良い)を少し入れる。中華鍋に油を敷き、萵苣薹の茎を先、葉を後から炒めて、しんなりしたら、ほぐした肉と先のスープを入れ味を整える。どんぶりに茹だった中華麺を入れておき、中華鍋の中身を注ぎ入れて終わり。レタスの深い味わいが嬉しい。椎茸の薄切りを一緒に炒めても良い。ラーメンはインスタントでも生麺でも。ただし、添付のツユの素は、化学調味料がレタスの繊細な味を壊すので、捨ててしまおう。寒い日はちょっととろみをつけると暖まる。無論普通のレタスで作っても良い。