おろ抜き大根(ダイコン)

henri772004-11-03


間引き菜とも言う。台風の影響がまだ残っていて葉野菜が少ないので、これはご馳走だ。抱える程を買っても大した金額にはならない。スーパーに出荷される様なものではないので、朝穫りの農家が店を広げる野菜市場利用の特権の1つだ。野菜を育てたことの無い方のために少し解説すると、根が膨らみ始める前の大根を収穫したもので、特別な種類ではなく、普通の大根の子供である。大根は地面に直に種蒔きをするのだが、芽が出たあとそのまま放っておくと密生してしまい、根が大きく育たない。だから、充分に1つの株に栄養が回る様に適当な間隔をとり、間にある株を抜いてしまう必要がある。その抜いた株を「おろ抜き」と呼んでいる。しっかりした味があり柔らかいので、これはこれで立派な食材となる。

直播きの野菜であれば、大抵この「間引く」という作業が必要になる。昔、野菜を初めて栽培してみた時には、この「間引く」感覚が良く分からず、もったいないという無意識が先に立って上手に間引けず、収穫量を減らしてしまう羽目になった。一度も庭と呼べる程の広さの住まいに住んだことがなく貧乏性なもので、密生で肥料を無理矢理ぶち込んでしまいがちになる訳だ。結局は、肝心な根茎部分が中途半端な大きさに留まってしまったり、実のなる作物なら、実の付きが極端に悪くなってしまった。大胆に間引くのがコツだが、最初は分かっていてもなかなかそうはなれなかった。土地持ちの友人にそのことを話したら、そんな経験はないと笑われてしまった。

さて、このおろ抜き大根だけど、おおよその葉野菜の献立は全て適用出来る。小さなものはそのままみそ汁に放り込めば良いし、少し育ったものは、固い根の上部とヒゲを切り取り、一夜漬けにしたり、炒め物に使う手もある。今回は、酢みそ和えにすることにした。煮立ったお湯に根の方を先に放り込んでから葉を入れてさっと茹でて急冷して絞っておく。下ごしらえだ。大量に扱うときはここ迄で冷蔵庫に保管すれば鮮度が保て、何にでも応用出来る。好みの味噌を出汁少量でゆるめ、お酢と合わせて適当に切った下ごしらえ済みのおろ抜きと和えるだけだ。長く置くと色が変わってうまみが逃げるので、食べる直前に和えると良い。